2018年12月11日火曜日

#Nutanix でソフトウェアライセンスを節約する方法

本記事は Nutanix Advent Calendar 2018 #1 12月11日分の記事です。

今日もマスターNutanixな@shadowhatさんからバトンを引き継ぎまして、
Nutanixの中の人は書かないであろうテーマで
お届けして参ります。


今回は非常にセンシティブな話題を敢えて・・・。

さて、HCIもすっかり普及してきまして、
数年前はVDI、VDIという感じでしたが、
最近は通常の社内サーバ用の環境として
当然のように選択されるようになってきました。

それでお客様と話していてぶつかる壁が、
ソフトウェアのライセンス問題。
新しくも、古い問題で、仮想化が始まった頃から
ずっと取り上げられている問題です。

ちょっとセンシティブですが、
今回はこれを節約するアイディアについて、
取り上げてみます。


1.ライセンス問題をそもそもおさらい

そもそもソフトウェアのライセンス問題がなぜ起こるかと言えば、
課金方式に、「物理CPU数(コアやソケット)」を基にした
カウント方式がされている場合があるからですね。

通常物理サーバですと、
1CPUか2CPUが載っているケースが多いですが、
2CPU搭載サーバだけであれば、
2CPU分のライセンスでよかったわけです。

これが仮想化の登場で少し様子が変わりました。
複数台の物理サーバを束ねて、
一つのリソースプールとして仮想のサーバ稼働環境を
構築するケースが増えてきました。
また、技術の進歩により、
複数の物理サーバ間で仮想化されたサーバ
を自由に動かすことができるようになりました。

これでハードウェアの障害と
仮想化されたサーバが切り離され、
飛躍的な可用性の向上が図られたわけです。

これで解決であればよかったのですが、
この場合、複数の物理サーバが登場しますので、
実際複数の物理サーバでそのソフトウェアが
動作するという状況が生まれてきました。

ソフトウェア企業はこの場合に例えば、
「稼働する可能性のある物理サーバのCPUコア数分、
 ライセンスが必要なので購入してください」
というポリシーを出してきました。
これがライセンス問題の発端です。


2.ライセンス数の考え方のおさらい

例えば前述のように、
「稼働する可能性のある物理サーバのCPUコア数分、
 ライセンスが必要なので購入してください」
ということで、ポリシーが設定されていたとします。
物理的なサーバは3台、各2CPU数分搭載されています。

この場合には、3台*2CPU=6CPUが合計になりますので、
計6CPU数分のライセンスが必要になるわけです。
※ソフトウェアメーカーのポリシー次第ですので、
 必ずこうなるとは限りません

重要なことは、この考え方は仮想化していれば
共通的な考え方ですので、
何かしらの特例的なポリシー設定が
されていない限りはどんな仮想環境でも同じです。

時折、Nutanixではどういう考え方に
なるかと問われることがありますが、
基本的には工夫をしなければ全く同じであり、
有利になることも不利になることもないです。



3.なぜHCIの商談でライセンスの話題が出やすいのか

HCIにおいて、ライセンスの話題が出やすい理由は、
HCIの特性にあります。

まずは1つ目の理由。
通常、HCIを選択する理由として、
将来的な拡張の可能性に対して柔軟性を提供する
という考え方をメリットとして選択するケースは多くあります。
つまり、物理的なサーバを後から「増やす」ということです。

多くのケースでソフトウェアライセンスは一部のサーバにおいて、
初回の構築時には購入するものの、
後からの増設においては「忘れられがち」です。
このため増設するHCI製品の価格だけ見てしまいますが、
ソフト分も実は必要だっと後から気づき、
予定していなかったと感じて割高になった「気になる」わけです。

次に2つ目の理由です。
HCIの商談において、運用性が非常によいことも踏まえ、
この機に仮想環境を統合して運用も楽ちんだ!という
ケースが増えつつあります。
この場合、トータルの物理サーバ数は減っているのですが、
リソースプールは大きくなるので、
「稼働する可能性のある物理サーバ」の候補が増え、
結果的に購入しなければならないライセンス数が増える、という仕掛けです。

例を以下に挙げてみます。

  【当初】
   ・仮想環境1=物理サーバ3台(各2CPUずつ)
   ・仮想環境2=物理サーバ3台(各2CPUずつ)+CPUコア課金のソフトを6CPU分購入
   ・仮想環境3=物理サーバ3台(各2CPUずつ)

  【統合化】
   ・統合環境=物理サーバ7台(各2CPUずつ)+CPUコア課金のソフトを14CPU分購入
    →物理ホストは減らせたが、ソフトの費用は上がった

物理的には統合したことで、冗長な物理サーバを減らせたのですが、
逆にソフトの費用が増えるのがわかると思います。
ここがひっかかってしまい、話が進まないケースは少なくないものと思われます。

何度か書きますが、この事情は仮想化に紐づくものであり、
NutanixやHCI独特ではないことを気を付けてください。


4.ライセンスを節約する考え方

非常に単純な考え方としては、
プール分割があります。
稼働する可能性のある物理サーバ分のコスト、
という条件ですから、
先の例であれば、7台の物理サーバを
4台と3台と分割したプールとすれば、
稼働する可能性がある台数を絞れるという理屈です。

自由に動く=DRSやHA機能と捉えれば、
そもそも自動で動く範囲であるリソースのプールを
分割してしまえば、稼働しないからOKという理屈です。
実際、これで回避可能なケースもあります。

しかし、残念ながら問題はそう簡単ではありません

プール間の移動というものは、
ライブマイグレーション機能などを利用すれば、
幸か不幸か、簡単に実現できてしまいます。
つまり、プールの分割だけでは、稼働の可能性のある
ホストは減っていない!という認識で
判断されるケースもあるのです。
#これは一例ですので必ずそういう判断されるとは限りません

また、今回のような構成を意図せず、
同じ状況になってしまうケースもあります。
例えばすでに仮想環境を構築していたとします。
別の機会で、別の用途の仮想化用の物理サーバを購入し、
たまたま初回に構築した環境のストレージ装置に、
新しく買った物理サーバを接続。
そちらはそちらの用途でプールを作成した、
なんて状況も結局は同じことなのです。

これらはソフトウェアメーカー側のポリシーの問題なので、
仮想化側、HCI側ではどうこう手出しができない問題です。
(屁理屈では?と思われるかもしれませんが・・・・)
必ずソフトウェアメーカーに
ポリシーを確認することをお勧めします。


5.結局、ソフトウェアライセンスは減らせないのか?

ここまで見てきた通り、
ソフトウェアメーカーのポリシーがあり、
統合の仮想基盤のようなケースでは、
負担が増えてしまうリスクがあることがわかりました。

では、ライセンスの節約はできないのか?
実は3つの手段があります。
うち2つは、Nutanixだからこそ選択できる手段です。


①Nutanix Volumes (旧Acroplis Block Service)の活用
これは紹介されているところもありますが、
ライセンスが発生するサーバを物理サーバに直接インストールし、
ストレージはNutanixの環境から提供しようというものです。

対象のサーバが単なる物理サーバですので、
ライセンスはそこしかかからないようになります。
わかりやすい手段ですが、ストレージの管理が
Nutanixに統合されるのみなので、
運用管理面のメリットが薄くなる欠点があります。

この手段は当然ながら、
Nutanixを利用する場合でのみ選択可能です。


②アプライアンスの活用
ライセンス問題が難しいなら、それに特化した、
専用のアプライアンスを用意してしまえ!というのが
こちらの手段です。
例えば某大手データベースの会社さんは、
データベースのアプライアンスを出しており、
それを活用することで、統合の仮想環境から
ライセンス問題を切り離すことが可能です。

専用のアプライアンスを活用することで、
デフォルトでチューニングされており、
性能向上する場合があります。
また、単なるサーバに入れる場合と比べ、
パッチ等の運用管理機能が最適化される場合もあり、
効率的になります。

正直、ライセンス問題のリスクを負うよりは、
この手法を選択するのが安全です。
ただし、ハードウェア管理は種類ができてしまうので、
その点の運用管理負担は残ります。
この手法はNutanix以外でも選択可能です。


③マルチハイパーバイザの活用
最後にご紹介するのが、
マルチハイパーバイザの活用です。
プール間の移動によるライセンスリスクがあるのは、
簡単に移動ができてしまうが故、です。
つまり、ハイパーバイザが異なれば、
簡単に移動ができないということになります。

Nutanixでは、クラスタを構成する際、
ESXiとAHVの混在というような構成をとることが可能です。
これを逆手に取ると、
例えばデータベースはESXiクラスタで、
それ以外はAHVクラスタでというような合わせ技が可能です。
#ただし、最低4ノード構成にはしたい

ハイパーバイザまで構成を変えていれば、
流石に稼働の可能性のある先とは言いづらくなりますので、
ライセンス問題を回避できる可能性がぐっと高まります。
(ない断言しないのは、メーカー見解に左右されるため)


ということで、今回はライセンスの話を取り上げてみました。
Nutanixでは3つも選択肢が使える点が正直魅力的です。
うまく活用して、コスト削減してみましょう。


今回の記事は以上です。

明日はNutanixからVM、オラクルまで、
様々な技術に精通するgowatanaさんの記事です!